めぐる庭への道のり。展示会の私的な作り方。その2。
先日のめぐる庭への道の途中。
アーモンドの花を描いたこと、そしてイメージ画像を作ったことをお話しました。
今日は実際に、描いたアーモンドの花を使って、コラージュ作品を作りました。
年の瀬、あわただしく落ち着かない日々のなか、時間を見付けて指を動かすことは、やっぱり楽しい。
楽しい。
この感情は、創作することにとって1番たいせつだと思うのです。
わたしの創作のはじまりは、自分にとってのセラピーでした。
ろくに食べられず、眠れぬ夜に泣きながら、引っ掻き傷みたいな絵を描いていて、そこからスタートしたのです。
一歩踏み出して皆さんに絵を観ていただけるようになったのは、そんな頃から背中を押し続けてくれている、お店やギャラリーの店主さん、オーナーさんのおかげです。
元々、そういったスタートということもあり、どこか大きな、立派で有名な画廊で展示をしてみたいという気持ちは、今でも全くと言っていいほどありません。
ただ、発表を始めてわりと早い段階から、どこか医療の現場で絵を観て欲しいという想いを抱いていて、でも全く見当も付かずにいました。
調べていくうちに、そんな貴重な場所として聖路加画廊を知りました。
実際に足を運んでみて、まず、その病院の大きさに驚きました。そして、病院とは思えない、荘厳な雰囲気。広く、美しい緑の、公園のような庭。
患者さん、スタッフさんの多さ…。
いつかここで展示が出来たらと、何度か応募を繰り返し、ご縁をいただいたのが2019年の秋。
何故、医療現場で個展を開いてみたかったかというと…
実は特に、アートセラピーや、ホスピタルアートなどに興味があったわけでは無いのです。
自分でもきちんと説明することが難しいのですが、
とにかく大きな病院になればなるほど、外来では待ち時間も長く、通院となれば半日、下手をすれば1日がかりです。
すでにお元気では無いなかをさらにさらに、疲れてしまいますよね。
そんな時に、少しでも気分転換になってもらえたら嬉しいと、そう思ったから。
入院中に、勤務中に、あ、絵が変わったな、新しい人が画廊にいるな、って思ってもらえたら…。
大層な志があるわけでは無いのです。
病院というちょっと身構えてしまうような、緊張してしまうような場所。
そこで過ごす人たちに、ほんの少しでもほっとしていただけたら。
あなたの絵は面白いね、可愛いねって言ってもらえて、ささくれだった、傷だらけだったわたしのこころが凪いでゆく。
辛かった絵を描くことが、心を落ち着かせ、楽しいものに変わってゆく。
楽しいから、観てもらいたい。
観てもらえるなら、誰かに笑顔になってほしい。
笑顔になれなくても、ちょっと息抜きしてほしい。
病院で展示をするなら、即売会みたいなのじゃなく、本気で、どこか町のギャラリーに行った気分になれるものにしたい。
世界観を作り出したい。
そこだけは、これからも目指していきたいです。いつか、そう思ってもらえるものになれたらいいな…。
第二画廊は、病院の廊下の壁面です。
だから、そこは絵を観たい人たちだけが通るわけではありません。
街の美術館やギャラリーだったら、そこで開催されている展示会を目指して人は集まるけど、そうじゃない。
関心も無いし、絵が飾られていることに気付かない方もたくさんいます。
または、体調の面で、余裕の無い方も。
でも、足を止めて、時に声をかけて下さる方もいます。
そしてそれは、6日間で終わる。
次の週には新しい絵が飾られ、違う人がいる。
だから、病院で過ごす人たちは飽きないし、また新たな出会いがあるのです。
病院のなかに、誰でも来られて自由に作品が観られ、そして購入も出来るという場所を設けて下さっている聖路加国際病院。
ここを提供してくれる間は、定期的に展示会を続けて行きたいなと考えています。
今日はひとつ、作品が生まれました。
来春に飾るかどうかは、まだわからないけど、
ほんのちょっぴりずつ、めぐる庭へ近付いています。
まだまだたいへんな道のりですが。
"楽しい"という気持ちをたいせつに、
病める人にも健やかな人にも、優しく語りかけることの出来る絵の子たちが、生まれてきますように。
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